日韓関係論文
新中学歴史教科書
日韓関係記述について


 新しい歴史教科書の白表紙本を見る機会を得た。そこで日韓関係についての記述が変わったかどうか、調べてみた。対象は以前調べて、その間違いを月曜評論に指摘した東京書籍、大阪書籍、日本書籍、教育出版、清水書院である。

 一番大きく変わったのは清水書院である。清水書院では前回の教科書では土地調査により「国とごく少数の地主しか土地の所有権を認めなかった」と書いていた。それに対し小生は「朝鮮では人口二千万人にたいし、土地調査完了時土地所有を認められた人は一八七万人もあり、明らかな間違いである。」と指摘した。そこで今回どのように変わったか興味を持っていた。そこで早速調べると、前回は「韓国併合と辛亥革命」の項に書かれていたのに対し、今回は「日本の植民地支配」の項となり、台湾、関東都督府に続けて朝鮮併合が述べられている。土地調査については台湾の所で、「住民の抵抗を武力で押さえ込んだ後、土地の調査を行い、近代的な所有権に基づく土地制度をもうけた。」とあり、朝鮮の所では、「台湾と似た統治を行った」としか記述がない。従って「このため農民は耕す土地を失い、生活に困った人々は日本や満州に移住した」との記述も消えた。 更に「日本語の使用を強制し、姓名を日本式に改めさせ、神社への参拝を義務づけた。」の記述は「日本語の使用や日本風の姓名への改名、神社への参拝を義務づけようとした。」と表現が緩和されている。

 それに対し土地調査と無関係な全羅北道の水利組合加入者について、日本人と朝鮮人の土地所有面積の比率の推移をグラフ表示し、この数字をもって全体を類推させる悪質な表現をした大阪書籍の記述は殆ど変わっていない。

 大阪書籍の本で、最も大きな改善は、強制連行の様子として「町を歩いているものや、田んぼで仕事をしている者など手当たり次第、役に立ちそうな人は片っ端からそのままトラックに乗せて船まで送り、日本に連れてきた。徴用と言うが人さらいですよ」という囲み記事が抹消されたことである。

強制連行の記事では「寝ているところを警察官と役場の職員に徴用令状を突きつけられ、手錠をかけたまま連行された」と書いた教育出版でも、この記事は消され、「日中戦争が始まると、労働力の不足に悩んだ日本は、朝鮮人や中国人を強制的に国内の炭坑・鉱山・工場などに送り込んだ。全国の強制労働の現場では、日本人による暴行事件も多く起こった。こうした暴行や、事故・栄養失調などによって強制連行された多くの朝鮮人や中国人が死亡したと言われる」となっている。

 三・一独立運動の記事も三頁から一頁に削減されている。この中で「当時、日本人の子供はほぼ全員学校に通っていたが、朝鮮人の子供達の就学率は一八%にすぎなかった」と書いてある。この数字を書くのなら、その後次第に改善され、終戦時には六〇%を超えており、世界の植民地のなかでは優等生だったことも書くべきであろう。

 最もシェァが高いと言われる東京書籍では相変わらず「朝鮮史を教えることが禁じられ」と書いてある。朝鮮史は日本史の一部として最後まで教えられているのである。記事の内容は殆ど変わっていないが、写真が差し替えられた。まず初期の義兵運動の兵士の写真が、総督府の建物に差し替えられ、三・一独立運動では「三・一独立運動の広がり」と題した地図が削除された。

 又「朝鮮神宮に参拝させられる学生達」の写真が、「志願兵に志願した朝鮮の若者達」に差し替えられている。きっちり整列し、颯爽としている若者達の写真からは、強制されて応募した雰囲気は感じられず、応募者が年々増え、最後には五〇倍以上となった事実を教える良い種になりそうだ。又写真を含め一頁を使って説明されていた強制連行の記事は削除され、わずかに「日本で働かされた朝鮮人、中国人などの労働条件は過酷で、賃金も低く、きわめて厳しい生活を強いるものでした。」

   最後に日本書籍は殆ど変わっておらず、この五社の中では唯一、「朝鮮などアジアの各地で若い女性が強制的に集められ、日本兵の慰安婦として戦場に送られました」と記述している。