( 2015.11.29 )
体面チェミョンハン
  


 




 ある韓国人が、こんな文章を書いている。
あの東日本大震災の夜、サッカー応援などに使う 「 デーハン・ミングック( 大韓民国 ) 」 という喜びの叫びを何度も耳にした時、この国は狂ったと、私は泣いてしまいました。
 著者のシンシアリーさん( 男性、1970年代生まれ )は生粋の韓国人だが、母親が日韓併合時代に学んだ日本譜を教えてくれたお陰で、子どものころから日本の雑誌やアニメを日本語を読んだり聞いたりして、今では時々の日本旅行を楽しみにしているという。

 そのシンシアリーさんは 「 韓国では、反日でないものは国賊扱いされ、見つかれば社会的に抹殺されます 」 と言うが、その一例としてこんな事件があった。
2013年5月、ソウルの鍾路にある有名な公園で、38歳の男が95歳の老人を殴り殺す事件がありました。 老人が 「 日本の植民地支配は、よかった 」 と話し、それを聞いた男が激怒したのです。 ……

この記事を紹介したポータルサイトのコメント欄には、 「 日帝植民地を擁護するのは国家保安法違反じゃないの? 」 「 日帝賛美は内乱罪だ 」 「 これ ( 殺人 )こそ愛国の表現ではないか 」 という意見が多くのユーザー推薦を受けていました。
 反日のためなら殺人も正当化されるというのは 「病気」 である。 この 「 反日病 」 は、どの様に生じたのか、シンシアリーさんの本を参考に考えてみたい。




 反日病の原因に関して二つの仮説が考えられる。 第一の仮説は、日本が朝鮮統治で酷い事をしたのに、日本人が心から謝罪しないので、その恨みが残っているというものだ。

 朴槿恵大統領が2013年3月1日に、100年近くも前の1919年に起きた 「 三・一独立運動 」 を記念する式典で 「 ( 日本と韓国の )加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わることがない 」 と述べたのも、その一例である。 しかし、この仮説に対しては、すぐにいくつもの反証を挙げることができる。

 第1に、日本統治時代の朝鮮人は反日病には罹っていなかった。 前節の老人のみならず、先の大戦中に日本軍に志願した朝鮮人は80万余に上り、独立を目指していた光復軍の数百人規模に比べれば3桁も多い。 反日病に罹っているのは日本統治時代を経験していない若年層である これは反日病には日本統治とは別の要因があることを示している。

 第2に、インドにとってのイギリス、ベトナムにとってのフランス、インドネシアにとってのオランダは、日本統治とは比べものにならないほどの過酷な植民地搾取をした旧宗主国だが、韓国のようにいつまでも恨みを抱いている様子はない。 お互いに対等の独立国家として、旧宗主国との外交を続けている。

 第3に、台湾は朝鮮と同様、日本統治を受けたが、韓国の 「 反日病 」 とは対照的な親日国である。 さらに戦時中、短期間と言えども日本が占領統治した国々は、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシアなど少なくないが、韓国のような 「 反日病 」 に罹っている国はない。

 




 韓国の反日病を説明する第二の仮説は、韓国人特有の精神構造に原因があるとするものだ。 シンシアリーさんは徴兵時の教育で 「 韓民族こそが世界一で、世界中で褒められている 」 という自賛と 「 しかし、日本のせいで多くの栄華が失われた 」 という言い訳を教えられたと証言しているが、これがその一例である。 この仮説を検証してみよう。

 まず、前段の 「 韓民族こそが世界一 」 という自賛の一例として、韓国の歴史が5千年前に遡るという史観は韓国内で大手を振っているようだ韓国の歴史は世界四大文明に並ぶというのだ 朴大統領は訪米中に自国が設立したニューヨーク韓国文化院で 「 韓国5千年の文化の魅力を 」 と語ったと伝えられている。

 ドイツ人の韓国研究家で韓国の漢陽大学の教授もしていたウェルナー・サッセ氏は 「 朝鮮日報 」 の取材で、次のように語った。
そのサッセ氏は同紙の取材に対し 「 韓国人の行き過ぎた国粋主義は問題 」 と指摘している。 ……

「 韓国5000年の歴史 」 を取り上げ、科学的な証明が必要とした上で、 「 過度に自慢すれば外国では笑いぐさになるかもしれない。 誇張せず、体系的に、事実に基づいて韓国の歴史を紹介したほうがいい 」 と忠告している。
 どの国民にも自らの国を自慢したい傾向はあるが、史実を無視し、史実で証明しようとする努力も全く無しに、世界史の定説とはかけ離れたお国自慢をするという韓国の姿勢は、他国民には理解しがたい




 シンシアリーさんは、韓国人のこの自賛を 「 体面チェミョン 」 という言葉で説明している。
韓国人には元々、 「 チェミョン ( 体面 ) 」 というものがありました。 日本や中国でいう 「 面子 」 と、似て非なるものです。 簡単に言うと、例え嘘でも、自分のプライドを守ろうとすることです。 そしてそのプライドは、実に外見的なもの、形式的なものです。 とりあえず威張るのがチェミョンです。

朝鮮時代の貴族階級だったヤンバン ( 両班 )たちは、とくにこのチェミョンを大事にしたと言われています。 『 両班は水に溺れてもジタバタしない 』 という諺のままですね。
 貴族階級の 「 体面 」 は今でも生きている。 企業の幹部を務めて運転手付きの社用車に乗っていた人が、退職後に満員バスに乗ったり、タクシーを拾ったりする 「 みじめさ 」 には耐えられないとこぼす。

 また韓国人牧師が日本滞在中に自転車に乗ることを覚えて、韓国でもそうすると、奥さんが 「 あんなはしたないことされると体面上困ります 」 とこぼす。 自転車とはみすぼらしい労働者が大きな荷物を運ぶための 「 下層労働階級 」 の乗り物で、立派な聖職者などが乗るべき物ではないのだ。




 シンシアリーさんの指摘の後段 「 しかし、日本のせいで多くの栄華が失われた 」 という言い訳を考えてみよう。

 特異な 「 体面 」 を保とうとする韓国にとって、残念なことは日本という経済でも、文化でも、科学技術でも、また民度としても韓国よりもはるかに世界的な評価の高い国がすぐ隣にいることだ。

 「 体面 」 を保とうとする韓国にとっては、これは耐えられない現実である。 特に韓国人は、シンシアリーさんによれば 「 ハン 」 という 「 韓民族特有の情緒 」 を持っており、その 「 恨 」 が日本に向かったのが、反日病だと考えられる。

 その恨を少しでも晴らすために 「 嘘 」 が必要となる。 その 「 嘘 」 には、以下の3つのパターンがある。

 第一の 「 嘘 」 は、日本の優れた文物は、すべて韓国が教えてやったものだと主張することである。 柔道は日韓併合時代に日本から韓国に伝わったものだが、韓国はそれを 「 ユド 」 と韓国語読みし、全米ユド協会はその公式ホームページで 「 柔道は豊臣秀吉の朝鮮出兵で日本に伝わったもの 」 としている。

 その他にも、剣道、合気道、空手、相撲、はては茶道、華道、折り紙から忍術まで、飲食物では豆腐、蕎麦、日本酒、寿司、刺し身、醤油、味噌、納豆、奈良漬けまで韓国起源だ、とまさに言いたい放題だ。

 韓国起源説の極めつけは、日本そのものが韓国人が作った国であると主張していることである。 たとえば、日本列島は有史以前から百済の領土だったが、百済王朝が滅亡した際に日本列島に逃げ込み、原住民を制圧して日本国を創った、皇室も百済の末裔である、万葉集も韓国語で書かれている、などというトンデモ日本史が堂々と語られている。

 日本の国際的評価が高くとも、それはすべて自分が教えてやってものと考えれば、多少なりとも 「 体面 」 は救われ、 「 恨 」 も和らぐわけである。




 「 体面 」 を保つためのもう一つの 「 嘘 」 は、韓国は過去に優れた文物があったのに日本統治時代に破壊された、と主張することだ。

 たとえば日本では千年以上もの古い建築や絵画、彫刻などの文化財があちこちにあるが、なぜか 「 5千年の歴史を持つ 」 韓国ではほとんどない。 シンシアリーさんは言う。
言い訳として 「 日本のせいで韓国の文化財のほとんどは奪われたり、燃やされたりした 」 としていますが、実は、併合時代、日本は韓国の文化財を復元・保護するために熱心でした。
 その一例として挙げられているのが、韓国でもっとも有名な仏像、慶州にある石窟庵ソックラムだ。 慶州は日本で言えば京都や奈良にあたる古都で、修学旅行の定番コースに入っている。
経験談ですが、その慶州のある展示室にて、講師が子どもたちに次のような話をしていました。 石窟庵の模型で説明しながら、 「 元々はもっともっともっっっっと凄かったけど、日本のせいでダメになった 」、 「 日本からエライさんが来るからって、日本軍が石窟庵をタワシで洗ったため、湿気が溜まるようになってしまった 」 と。
 シンシアリーさんは、これに突っ込みを入れて、
そんなに偉いものなら、なんで放置していたのか( 放置されていたのを併合時代に日本が見つけ、修復しました )。 何の資料と比較して 「 元通りにならなかった 」 というのか( 元の姿の設計図や写真などがあるのか )。
 多少とも予備知識のある人なら、すぐこれくらいの反論ができる、根拠のない言い分なのだが、日本の高校生が修学旅行で高い旅費を払って韓国まで行き、こんな 「 反日病 」 の説明を受けているのである。

 「 体面 」 を保つための第三の 「 嘘 」 は、日本が道徳的に劣っていることを、世界各国に言いふらすことである。

 朴槿恵大統領は関係のない第三国のトップにまで、日本の 「 従軍慰安婦 」 問題を言いつけて相手を困惑させているが、東アジアの政治史を専門とする古田博司・筑波大学教授によると、こうした 「 告げ口外交 」 は 「 イガン( 離間 )ジル( 行為 ) 」 という朝鮮の伝統だという。

 ほとんどの国では告げ口で人の足を引っ張るのは道徳的に卑しい行為とされているが、韓国では大統領までそれをして 「 恨 」 を和らげているのである。




 こうして見ると、韓国の世界でも特異な 「 反日病 」 は、自らの 「 体面チェミョン 」 が守れないために日本へ 「 ハン 」 をぶつけている、という、第二の仮説が成り立ちそうだ。

 だとすれば、反日病は韓国の精神構造に根ざしているだけに、わが国がどうこうしようと解決できる問題ではない。 シンシアリーさんの言うように、 「 距離を置く外交 」 が正論だろう。

 ただ、韓国の病例から 「 他山の石 」 として、わが国が学ぶべき事がある。 それは自分の国への 「 誇り 」 とは何か、という点である。 シンシアリーさんは言う。
生きてきながら、誇らしいと思ったことが、何度かあります。
…… 私がこの国に生まれて、この国で有形無形のものを共有し、その中で社会の構成員たちと混ざり合った 「 恩 」 という概念のやり取り。 その中に誇らしいという感情が見え隠れしているものであって、決して高速道路や空港、youtubeクリック数で国を誇らしいと思ったことはありません。
 日本人が日本を誇らしいと思うのは、世界遺産の数や経済力やノーベル賞の数だけではない。 それらは我が先人たちが国と子孫のために努力してきた結果であって、我々が感謝し、誇りに思うのは、その先人たちの生き様である。 それを 「 恩 」 と感じ、誇りとして、どう 「 恩返し 」 をするかを考えていけば、我々なりの有意義な生き方が見えてこよう。 それが幸福な国民の生き方である。