( 2013.03.16 )

  


 韓国の小規模個人店主らが加盟する 「 路地裏商店街保護消費者連盟 」 が今月から始めた 「 日本製品不買運動 」 がさっぱり盛り上がっていない。 約600万人が加盟するとされる団体が呼びかけたことから、日韓の一部メディアでは 「 通商摩擦に発展する 」 などと物々しく伝えられたが、賛同の声はほとんど聞かれない。 「 反日ならばなんでもあり 」 の韓国で、運動が不調なのはなぜなのか。

 朝鮮半島の日本統治に抵抗して1919年に起きた 「 三・一独立運動 」 の記念日にあたる3月1日午後。 ソウルにある独立運動の “聖地” タプコル公園では、日本製品のブランドを貼り付けたポスターや看板に生卵を投げつける人々がいた。 取材中に巻き添えで卵を“被弾”したメディア関係者も出るほど、現場はかなりエキサイトした。

 運動は日本政府が2月22日に 「 竹島の日 」 の式典を行ったことを 「 強く糾弾し抗議の意思を示す 」 ことが狙いという。 主催は市民団体 「 有権者市民行動 」 と 「 韓国市民社会連合 」、それに 「 路地裏商店街保護消費者連盟 」 の共催だ。

 同連盟は文字通り、商店街や横町にある個人営業商店の経営者らで構成されており、 「 日頃から組織的に反日運動に取り組んでいるわけではない 」 ( 韓国警察関係者 )という。

 600万人が加盟しているだけあって運動の実績も残している。

 韓国の聯合ニュースによると、過去にはサムスン系列のクレジット会社を相手に運動を展開。 クレジットカードの事業者負担手数料率を引き下げさせたり、地方自治体を動かして商売敵である大型スーパーに義務的な休業日を設けさせたりした。




 公園近くの路地裏を歩くと、加盟者らが営む店舗があり、シンボルステッカーが張られていた。

 そこには “標的” としてアサヒビールやソニー、ホンダ、トヨタ自動車、ユニクロなどの商品イメージやロゴなどが描かれ、 「 日本製品 売らない 買わない 」 「 日本たばこ マイルドセブンを吸うのはやめよう 」 のスローガンが大きく横書きされていた。

 主催団体の幹部だという男性は韓国メディアの取材に 「 日本が独島( 竹島の韓国名 )に対する侵略野望を捨て、本当の平和が訪れるまで不買運動を継続する 」 と宣言し、 「 大韓民国を支える自営業者たちも日本の蛮行に対してこれ以上我慢しないという意思を明確に示す 」 と政治的な意図を主張した。

 韓国メディアは運動について当初、 「 日本製品不買運動は過去にも一部の市民団体によって行われたことはあるが、これほどの大規模なものは異例 」 と紹介。 その効果について、 「 メンバーは飲食店、酒店、小規模スーパーなど韓国国内に流通する日本製品の80%を取り扱っており、影響は小さくない 」 ( 聯合ニュース )と伝えていた。

 15日からは釜山でも、運動の第2弾を展開する方針だというが、支持が広がる兆しはない。

 韓国の世論調査機関・モノリサーチの調査では、今回の不買運動に約53%が 「 関心なし 」 と回答。

 中央日報は 「 日本人観光客も来店するので、店頭に不買運動のステッカーなど張ったら商売にならない 」 というソウルの商店経営者の声を掲載した。

 ソウル中心部に位置し日本人観光客も多い仁寺洞近くで飲食店などを営む金恒植さん( 57 )は、 「 日本製品を取り扱わないなんてことはあり得ない。 どこの国の品物だろうと、お客さんが求めるものを提供するのが商売の基本 」 と断言した。

 またソウルの高級ブランド街、江南の輸入雑貨店では女性店主が 「 品質と値段で納得できる商品ならばどの国のものだろうと売れる。 お客さまのニーズに応え、暮らしを豊かにして経済を発展させることの方がよほど国家に貢献できるのでは 」 と話した。




 韓国ではアサヒやサッポロ、サントリーなどの日本のビールは高級銘柄として定着。 ユニクロは 「 品質と価格 」 で信頼を得ている。 ソニーなどの日本の電子メーカーはサムスンやLGといった韓国経済の屋台骨を支える世界的企業に部品を提供するなど、密接な関係にある。

 つまり、今回の不買運動は韓国の庶民の意識にも、経営感覚にもマッチしていないようなのだ。

 不買運動を支持できない理由について、2月26日の中央日報( 電子版 )は 「 愛国心を利用した販売戦略は危険だ 日本製品不買運動 」 と題した社説で、 「 市場は政治から自由になってこそ発展し豊かになる 」 と主張。 昨年の中国での日本製品不買運動は、日本企業が対中投資を減らすなど結果的に中国にも損害をもたらしたと指摘した。

 韓国のネット世論も冷ややかだ。

 ネットの反日世論形成サイトの代表格である 「VANK」 は、不買運動の目的と背景について 「経済格差の広がりがある」 と分析。 「大型小売店などの商売敵との生存競争に敗れた街中の商店や自営業者が次々と閉店に追い込まれている」 と解説した。

 さらに、 「( 今回の不買運動の狙いは )日本ではなく、韓国国内に向けられたものだ」 と指摘。 「( 運動に )過剰反応して徳をするのは、彼ら( 不買運動団体 )である」 という記述もあった。

 経済水準が上がり、良質な製品の良さを知った韓国消費者の頭の中では、不買運動と 「反日愛国心」 が結びつかなかった。

 一方で、国家経済力の発展の恩恵を受けられなかった人々の間で、今後も反日という形でその鬱憤が表出しかねないことを示しているのが、今回の不買運動であるようだ。