( 2013.07.10 )

  


 第2次大戦中に日本に徴用された韓国人労働者が新日鉄住金( 旧日本製鉄 )に損害賠償などを求めた訴訟の差し戻し控訴審が10日、ソウル高裁で開かれた。 裁判長は、原告の請求を棄却した一審判決を変更し、新日鉄住金に対し、韓国人の元徴用者4人に1人当たり1億ウォン( 約880万円 )の賠償を命じる判決を言い渡した。
 戦後補償をめぐる韓国の裁判で、日本企業に徴用者への賠償を命じる判決は初めて。 韓国で進む同様の訴訟にも影響するとみられ、提訴の動きが広がる可能性もある。
 新日鉄住金は 「 徴用工などの問題を完全かつ最終的に解決した国家間の正式な合意である1965年の日韓請求権協定を否定する不当な判決で、誠に遺憾 」 とコメント、上告する考えを表明した。
 判決は 「 原告は日本製鉄の支配下で危険な労働に従事し、賃金も満足に受け取れなかった 」 と指摘。 被告が時効などを理由に責任を否定するのは、韓国憲法だけでなく、世界の文明国家や日本憲法に照らしても容認できないと強調した。
 仮に原告勝訴の判決が確定し、新日鉄住金が賠償金の支払いを拒否した場合、韓国内に所有する財産などが差し押さえられる可能性がある。





( 2012.07.11 )

  


 ソウル高裁の10日の判決は、1965年の日韓請求権協定の締結交渉で、日本側が 「 植民地支配の違法性を認めなかった 」 ことを問題視した昨年5月の韓国最高裁の判断を踏襲したものだ。 歴史認識などをめぐり冷却化した日韓関係の一層の悪化は避けられそうにない。

 最高裁は、日本が締結交渉で植民地支配の違法性を認めなかったことを理由に、個人請求権の消滅に関しては日韓両国が一致していたとみる十分な根拠がないと判断、請求権は有効とみなした。

 訴訟は戦前、日本製鉄( 新日鉄の前身 )での作業に応募し日本に渡った男性( 90 )らが、約束と異なり過酷な労働を強いられたと訴えたものだ。 これに対しソウル高裁は 「 日本製鉄による募集、強制労働は、日本政府の朝鮮半島の不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的な不法行為 」 と認定した。

 韓国の裁判所のこうした “反日” 傾向が明確になったのは、2011年8月、日本統治時代の慰安婦問題をめぐり 「 韓国政府が具体的措置を講じてこなかったのは違憲 」 と憲法裁が判断して以降のことだ。 韓国の司法界は、政治状況や社会のムードに敏感だといわれる。 日韓関係が好転しない状況下では、このような判決・司法判断が繰り返される可能性が高い。

 徴用労働者をめぐってはさらに深刻な問題がある。 日本政府の調査・試算では、給与が未払いの徴用工は約17万人で、未払い金は当時の額で約2億8千万円に上る。

 韓国のメディアによると、日本企業が賠償の支払いに応じなければ、原告は同社の韓国内の資産差し押さえを裁判所に求めることができる。 新日鉄住金は韓国最高裁に上告する方針を示したが、上告しても棄却の可能性が高い。





( 2013.07.12 )

  


 戦時中に日本で徴用された韓国人4人が新日鉄住金( 旧新日本製鉄 )に未払い賃金などを求めた訴訟で、ソウル高裁が同社に対し1億ウォン( 約880万円 )ずつの賠償を命じた。

 請求権問題は解決済みとする日韓両国の協定に明確に違反しており、日韓関係をさらに悪化させかねない不当判決である。

 今回の判決は昨年5月、韓国最高裁が 「 日本の植民地支配は不法な強制的占拠 」 と元徴用工の個人請求権を認め、審理を高裁に差し戻したことを受けたものだ。 高裁も徴用を 「 朝鮮半島の不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的な不法行為 」 と決めつけ個人の賠償請求権を認めた。

 だが、昭和40年の日韓基本条約の付属文書である日韓請求権・経済協力協定では、日本が無償供与3億ドルと政府借款2億ドルなどの経済協力を約束し、両国とその国民( 法人を含む )の請求権に関する問題は 「 完全かつ最終的に解決された 」 と明記された。 菅義偉官房長官が 「 日韓間の財産請求権は完全、最終的に解決済み 」 と判決を批判したのは当然である。

 韓国では三菱重工業など日本企業に対する同様の訴訟が5件起こされており、同様の判決が出される可能性が高い。 新日鉄住金は韓国最高裁に上告する方針だが、棄却の公算が大きい。 原告側が一部被告企業に和解をもちかけ、分断を図ることも考えられ、日本側は足並みをそろえる必要がある。

 賠償命令が確定すれば、日本企業の韓国での保有資産が差し押さえられる恐れもある。 日本政府は韓国が公権力を行使しないよう強く働きかけねばならない。

 韓国の裁判所が解決済みの賠償問題を蒸し返すようになったのは一昨年夏からだ。 憲法裁判所が元慰安婦の賠償請求に関し、韓国政府が具体的措置を講じてこなかったのは違憲だと判断したことが契機となっている。

 今年1月、ソウル高裁は靖国神社の門に放火した中国籍の男を一方的に 「 政治犯 」 と認定し、日韓犯罪人引き渡し条約に基づく日本側への身柄引き渡しを拒否した。 2月には、韓国の地裁が長崎県対馬市の寺から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像の日本への返還を差し止めた。 文化財に関する条約に違反している疑いが強い。

 韓国の司法には、理性的な判断をしてほしい。





( 2013.08.30 )

  


 戦時中に朝鮮半島から徴用された韓国人らが賠償を求めた訴訟で、新日鉄住金( 旧日本製鉄、本社・東京 )など日本企業に賠償命令が相次いだことを受け、政府は29日、韓国大法院( 最高裁 )で敗訴が確定した場合、国際司法裁判所( ICJ )に提訴する方向で検討に入った。 韓国の同意がなければ裁判は開かれないが、解決済みの戦後補償の前提を覆す判決の不当さを国際社会に訴える意義は大きい と判断している。

 首相周辺は 「日本側に瑕疵かしはなく国際司法裁判所に提訴すべきだ」 との考えを明かし、別の周辺も 「賠償が確定すれば提訴するのは当然だ」 と述べた。

 日韓間の賠償請求権問題は、昭和40年の国交正常化に伴い締結された 日韓請求権協定で 「完全かつ最終的に解決された」 と明記。 協定には日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルを供与することが盛り込まれ、日韓両政府は協定に基づき戦時徴用問題も解決済みとの立場をとっている。

 戦時徴用訴訟をめぐり外務省は 「仲裁委員会の発足を求める」 ( 幹部 )との立場を強調する。 協定の3条では両国間で紛争が起きた際、両国が合意した第三国の委員を含む仲裁委を発足させるとの規定がある。

 首相周辺も仲裁委の規定を把握しているものの、国際司法裁への提訴検討を強調するのは、韓国側が仲裁委の設置に応じるか定かでないためだ。

 無策のまま時間を浪費すれば日本側にデメリットが生じる。 徴用訴訟ではすでに、韓国の高裁レベルで日本企業に賠償を命じる判決が相次いでおり、賠償命令が確定すれば日本企業は韓国での保有資産を差し押さえられる恐れもある。

 このため国際司法裁への提訴で日本の正当性を表明し、差し押さえを踏みとどまらせる狙いがある。

 新日鉄住金は韓国の高裁判決を不当として上告。 最高裁で 「主張の正当性を明らかにしていく」 と説明しているが、最高裁で敗訴が確定すれば賠償に応じる意向だという。

 最高裁が判断を翻す可能性は低いとされ、仮に新日鉄住金が賠償に応じれば、元徴用工や遺族らの賠償請求が続出し、解決済みの補償問題も次々と蒸し返されかねない。 こうした事態は日韓間の戦後処理の崩壊を意味する 政府は国際司法裁への提訴で日本企業を全面支援する姿勢を示し、企業側にも一致した対応を求めたい考えだ。