( 2018.10.30 )




30日、判決が言い渡される前に韓国最高裁前で集会を開く原告側の支援者ら
 韓国人の元徴用工が新日鉄住金を相手取った訴訟で、韓国最高裁は原告勝訴とし、1965年の日韓請求権協定で 「解決済み」 である請求権問題を蒸し返した。 同協定に基づけば、個人が訴えを起こそうが、請求権は法的には救済されないもので、前代未聞の判断だ。

 労働動員者( 徴用工 )への補償問題は、日韓国交正常化交渉での主要議題だった。 日本側は根拠のある請求権を持つ個人への直接支払いを提案。 しかし、韓国側が個人を含むすべての請求権に関わる資金を韓国政府に一括し支払うことを要求。 日本側がこれを受け入れ、請求権協定に従い最終的に、無償の3億ドルは韓国政府に支払われた。

 韓国政府も当時、 「我々が日本国に要求する請求権に国際法を適用してみれば、領土の分離分割に伴う財政上及び民事上の請求権解決の問題なのだ」 ( 1965年の韓日会談白書 )と明言している。 民事上の請求は請求権協定で解決したことを韓国側も認めたわけで、韓国は日本政府による個人への補償を拒み、韓国政府が義務を負うことを選んだ。

 それから40年の2005年。 盧武鉉ノムヒョン大統領( 当時 )は日韓国交正常化に至る外交文書を公開し、当時の確約を再確認しつつも、日本の 「謝罪と賠償」 の必要性を訴えた。 12年5月、上告審で最高裁は戦時の徴用だけでなく 「植民地支配( 日本の統治 )」 の不法性にまで解釈を拡大し 「損害賠償請求権が請求権協定で解決されたとみるのは難しい」 とし、高裁に差し戻した。

 ただ、韓国政府は 「日本は何も償っていない」 という協定を無視した世論にも関わらず、国家間の合意上、 「請求権問題は解決済み」 との立場は守ってきた。 だが、ここに来て国際条約( 請求権協定 )をほごにする司法判断が出た。

 最高裁判決を前に韓国では、朴槿恵パク・クネ前政権の意向をくみ、元徴用工訴訟の判決を先延ばししたとして、最高裁所属機関の前幹部が逮捕され、今回の原告勝訴の可能性がさらに高まった。

 慰安婦問題同様、韓国で徴用工問題は国民感情や日本への不満を基に叫ばれている。 「日本との歴史問題をめぐる国民感情を重視した判決」 と韓国国内の事情を問題視されても仕方がない。

 

元徴用工と新日鉄( 現・新日鉄住金 )の訴訟での主な経緯
西暦日本の首相韓国の大統領     で き ご と
1997年橋本龍太郎金泳三 元徴用工の韓国人男性2人が新日鉄に損害賠償と謝罪を求め大阪地裁に提訴
2001年森喜朗金大中 大阪地裁は違法な強制労働だと認めるも、「新日鉄は当時の債務を継承していない」などと請求棄却
2002年小泉純一郎 控訴審が開かれ、大阪高裁は「2人の債権は65年の日韓条約によって消滅している」などと指摘、一審判決を支持
2003年盧武鉉 最高裁は男性2人の上告を棄却。原告敗訴の一審、二審判決が確定
2005年 男性2人を含む4人は韓国の裁判所で新日鉄を提訴。一審とニ審は「日本の確定判決は韓国でも効力が認められる」と請求棄却
2012年野田佳彦李明博 新日鉄を提訴した4人と、三菱重工業を提訴した5人に対し、韓国の最高裁・大法院は「日本の司法判断は植民地支配を合法的との認識に立っており、韓国としては受け入れることができない。個人の請求権は消滅していない」と審理の高裁差し戻しを判決。原告勝訴
2013年安倍晋三朴槿恵 差し戻し控訴審でソウル高裁は、新日鉄住金に原告1人に1億ウォン(計4億ウォン)の慰謝料を払うように命じる。原告勝訴
2018年文在寅 ソウル中央地裁は「朴政権の意向に従い、元徴用工の民事訴訟の判決を不当に先延ばしをした」として10月27日、最高裁の所属機関「法院行政所」前次長、林鍾憲容疑者を職権乱用などの疑いで逮捕



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